多数回の盗撮事案で、準抗告により身柄釈放、速やかな示談により不起訴処分

■ 相談前
会社員のGさんは、靴に仕込んだ隠しカメラで女性のスカート内を盗撮するという行為(迷惑行為防止条例違反)を繰り返していたところ、被害者と目撃者らによって現行犯逮捕されました。逮捕に引き続いての勾留が決まったタイミングでご依頼を頂きました。

■ 相談後
既に勾留決定が出された後であり、このまま身柄拘束が続くと会社で懲戒解雇等の処分を受ける事態が確実視されたため、裁判所に対して勾留に対する準抗告の申立て(刑事訴訟法429条1項2号)という手続きを執り、即時の身柄釈放を求めることとしました。Gさんの意向も確認の上、ご家族の身元引受書、会社員として就業していることを示す資料、被害者に対する謝罪文、謝罪金の準備状況に関する報告書、被害者と接触しないこと等を内容とする誓約書等の資料を急いで準備し、依頼を受けたその日のうちに申立てを行いました。Gさんに罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないこと、勾留継続による不利益が重大であること等を担当裁判官に説得したところ、申立てが認められ、Gさんはご依頼の翌日に釈放されました。

また、身柄解放活動と並行して被害者との示談交渉も行いました。被害者は遠方住まいの方でしたが、直ちに被害者の元に伺い、Gさんの反省や再犯防止のための具体的取組み等について丁寧に説明、説得したところ、被害者の許しを得ることができ、Gさんに対して一切刑事処罰を求めないとの内容を含む示談を成立させることができました。示談成立に伴い、Gさんは余罪について立件されることもなく、速やかに不起訴処分となりました。

■ 佐藤 絢弁護士からのコメント
本件は逮捕段階で弁護人が就いておらず、勾留決定が出てから依頼を受けたケースでしたが、本来であれば上記のような活動を逮捕直後に行い、勾留決定自体の回避を目指すべき事案だったといえます。一度勾留決定が出されてしまうと、後からこれを覆すことは一般的に容易ではありません。その意味で、刑事事件で逮捕された場合、一刻も早く弁護人を選任し、スピーディーに対応してもらうことが極めて重要となってきます。

本件では、身柄解放活動だけでなく、示談交渉についても迅速に対応することで、余罪捜査を事実上断念させる形で速やかな不起訴処分を実現することができ、Gさんにとって最善の結果を得ることができました。