執行猶予中の詐欺事案で、早期示談、被害届取下げにより刑事手続終結
■ 依頼者:詐欺/加害者
■ 相談前
Eさんは、以前、恐喝罪で執行猶予付きの有罪判決を受けていたところ、執行猶予期間中に、とある店舗で商品の値札を張り替えて商品を購入した詐欺の容疑で、店舗から被害届を提出され、在宅で取調べを受けました。執行猶予中の犯行であったため、今後刑務所に服役しなくてはならないのではないかと不安になられ、ご本人とお母様とでご相談にお見えになりました。
■ 相談後
ご依頼後、直ちに被害店舗に赴き、責任者の方と示談交渉を開始いたしました。示談交渉には数日を要しましたが、最終的には、Eさんが今後当該店舗に立ち入らないことの誓約等を含む内容の示談が成立。同時に被害届取下げの書面や、Eさんに対して一切の刑事処罰を求めない旨の捜査機関宛て嘆願書を作成してもらうことができました。これらを担当刑事に提出したところ、捜査は終了し、送検もされることなく刑事手続終結となりました。
■ 佐藤 絢弁護士からのコメント
詐欺罪は、罰金刑の定めがない比較的重い犯罪類型であり(刑法246条)、執行猶予期間中でもあったため、送検された場合、起訴される危険が高い事案でした。有罪となった場合、前刑の執行猶予が取り消され(刑法26条1号)、刑務所への服役が見込まれたため、送検前の早期の段階で被害店舗と示談を成立させ、刑事手続の終結を求める必要がありました。
警察で捜査を開始した事件は、原則的に検察官に送致することとされており(刑事訴訟法246条)、検察官において起訴、不起訴の判断をすることになるのが通常ですが、実際には、送検前の早期の段階で示談成立等により被害届が取り下げられた場合、事件が検察官に送致されることなく、警察段階で刑事手続を終結させる、という処理が警察実務上行われることがあります。
本件では、被害届提出後間もないタイミングでご依頼を頂いたため、速やかな示談により早期に刑事手続を終結させることができ、詐欺罪での起訴や執行猶予の取消し、刑務所への服役といった事態を回避することができました。