3回目の痴漢で身柄釈放、不起訴処分を獲得

■ 依頼者:痴漢/加害者

■ 相談前
研修医であるAさんは、電車内で偶々近くに居合わせた女性の臀部を触る等の痴漢行為を行い、迷惑防止条例違反で現行犯逮捕されました。Aさんには同種前歴が2件あったため、逮捕に引き続き勾留され、そのタイミングでAさんのご両親よりご依頼を頂きました。

■ 相談後
このまま勾留が続いた場合、Aさんの無断欠勤状態が続き、勤務先で懲戒解雇等の重大な処分が予想されたため、速やかな身柄解放を実現する必要性が高い事案でした。また、Aさんは医師であるため、たとえ罰金刑であれ、前科が付くと、医業停止の行政処分が見込まれたため(医師法7条2項2号、4条3号)、不起訴処分を獲得する必要がありました。

ご依頼を頂いた後、直ちにAさんと接見したところ、罪を認め、被害者に対する謝罪と被害弁償を希望するとのことでしたので、担当検察官を通して被害者への示談申入れを行い、直ちに示談交渉を開始しました。また、並行して必要書類を準備の上、裁判所に対して勾留の裁判に対する準抗告の申立て(刑事訴訟法429条1項2号)を行い、身柄釈放を求めました。

担当裁判官に対して、Aさんが被害者に接触する可能性がないこと、Aさんと関係良好な両親が責任を持ってAさんの監督を行っていくこと、被害者との示談成立見込みが高いこと、身柄拘束の継続に伴うAさんの不利益の大きさ等を説明し、身柄解放を強く求めたところ、一度決まった勾留の決定が取り消され、Aさんはご依頼を頂いた翌日に釈放となりました。また、被害者との示談も成立し、被害者からは被害届取下げと、Aさんに対する一切の刑事処分を求めない旨の意思を示してもらうことができました。最終的に、Aさんは事件のことを職場に知られることなく、不起訴処分となりました。

■ 佐藤 絢弁護士のコメント
身柄拘束が継続した場合、就業している方であれば懲戒処分による失職の危険性があるため、身柄解放活動を行う弁護人にはスピーディーな対応が求められることになります。
また、本件のように被害者がいる犯罪の場合、検察官による起訴、不起訴の決定には、示談の成否が大きく関わってきます。
早期の迅速な対応が結果として依頼者にとっての最善の解決に結びついたケースでした。